はじめに
本記事では、以前別の記事で少しだけご紹介しました"Tenalice-ambidextrous"アクリル積層ケースについて、概要や発注、組み立てについて簡単にまとめてみたいと思います。
外観について
アクリル板を5層重ねたケースとなっており、完成後の実寸でサイズは幅392mm,奥行97mm,高さ22mm(ゴム足除く)となっています。ねじは上下と表裏に計16個、スペーサーは8個使用します。
構造と部品について
積層の構造は次の画像のとおりです。
1層目:トッププレート
2層目:スイッチプレート
※写真なし。スイッチプレート単体の写真が撮れておらず、すべてのスイッチを外すことを本能が拒否した結果、現在写真はありません。後日スイッチを入れ替えるなどで外した時に写真を撮って追記したいと思います。
3層目&4層目:ミドルプレート
5層目:ボトムプレート
私が使用しているVer1のボトムプレートには、ボトムプレートの上面に反転した文字(彫刻)を入れてみました。
が、実際に組み上げたとき薄ーくしか見えませんでした・・・。このあたりはアクリル素材の色(透過度)によるかと思います。
今回作成してみた分かったのですが、トッププレートは取り外した状態(スイッチプレートまでの4層)でもケースとなるほうが良いのではないかと感じました。違いとしては、アクリル素材の色(透過度)が濃い色の場合、トッププレートまで装着するとほとんど内部は見えませんが、スイッチプレートまでにするとPCBのシルク等が見えるようになります。
ご参考までに、アクリル素材のグレースモーク1枚ですとこのような透過度となっています。透過度の濃淡は光量によっても変わって見えます。重ねると色濃くなるのがよくわかります。
発注について
アクリルレーザーカットサービスのお店に依頼して作成を行います。インターネットで検索するといろいろ出てくるのですが、私は過去2回アクリルケースを注文していますがいずれもAnymanyさんでした。
作業の流れとしては以下の通りで行いました。
①上記のアクリル積層部品の図面をKicadで作成し、プロット機能からsvg形式で保存
②svgファイルをInkscapeで開き、アクリルカットサービスの入稿データの仕様に合わせて、用紙サイズ、線、塗りといった設定を行い、指定のファイル形式で保存
③アクリルカットサービスのお店に注文
私のケースを作成する際に発注したAnymanyさんでは、アクリル板の素材、オブジェクトサイズ、カットラインの長さ、彫刻面の大きさ、ライン彫刻の長さ等の要素で決まり、全5層のアクリルパーツで料金は20,900円(税込)でした。(Oh...)対応しているサイズや素材、そしてデータをアップロードして自動で発注できるのが便利なので気にっているのですが財政が…。余談ですが、アクリルプレート付きのキットが自作キーボード界隈にはたくさんありますが手頃な価格ものも多く、どうやって調達しているのでしょうか。もっと安価に作成してくれるサービスをご存じの方がいらっしゃいましたら是非ご教示お願いいたします。(切実)
組み立てについて
まずはスイッチプレートにスイッチをはめ込み、ホットスワップソケットにスイッチの足が入るようにしてPCBに差し込みます。"Tenalice-ambidextrous"のビルド時と同様にまずは四隅からスイッチをはめ込むようにし、その後ほかのスイッチを取り付けます。
次にボトムプレートにスペーサーをねじ止めします。
ミドルプレートをスペーサの位置を合わせ重ねます。
スイッチプレート取り付けます。
最後にトッププレートを重ねてねじ止めして完成です。
濃い色のアクリルケースで今回作成してみましたが、鏡面仕上げのように反射して面白いです。
おわりに
今回作成したケースの修正版をBOOTHで公開しました。
正直、アクリル積層ケースを個人で作成するのは高額過ぎて積極的にはおすすめできない気がしておりますが、挑戦したいという方がいらっしゃればダウンロードしてみてください。
***** ご注意 ******
アクリルケースの作成については、ご自身の責任のもと実施をお願いいたします。一度作者により作成済みのケースではございますが、本ダウンロードデータにより作成されたアクリル積層ケースにおける一切の責任は負いかねますので予めご了承ください。
使用するファイルのミスによる誤発注には十分ご注意ください。 またアクリルの性質上、加工時に反りが出る場合や、加工の厚みによっては割れやすい部分がございます。
トッププレートはキーキャップとシンデレラフィットです。キーキャップによっては干渉する可能性がありますのでご了承ください。
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内容物としては2次加工用にsvgファイルとdxfファイル、そしてpdfファイルです。公開にあたり、ボトムプレートの文字に関しては”ボトムプレートの上面に彫刻”するパターンと”背面に彫刻”するパターンを作成してみました。ややこしいですが、キーボードを裏から見て薄い文字色が表面彫刻、濃い文字色にしたい場合裏面彫刻となります。
なお、私のケースを作成する際に発注したAnymanyさんに関しては、ダウンロードデータのPDFファイルをそのまま使用して注文することができます。
あと、スペーサーやねじに関してですが、スペーサーはミドルプレート部分に収まるサイズということで10mmサイズのスペーサーとなります。
遊舎工房さんでも購入可能ですし、ホームセンターなどでも入手可能かと思います。
ねじは2種類となります。トッププレートとスイッチプレートをまとめて貫通する長さでスペーサーへ到達する8mmのものと、ボトムプレートやスイッチプレートのみの場合に使用する4~5mmが必要があります。
私の場合、トッププレートを留めるねじは金色のものにしかったのでこちらを購入しました。ボトムプレートのものは"Tenalice-ambidextrous"のキットに付いているものです。
遊舎工房さんでは金色は最大5mmサイズのため、スイッチプレートだけとする場合は大丈夫ですが、トッププレートを使用する場合、8mmは通常色のものになるかと思います。
おわりに
本アクリルケースについては、実は以前”Tenalice”の記事で引用させていただいた”ろか”さんのVisionケースと同じ厚みの設計です。実際には、厚みや構造についていろいろ検討してはみたのですが、一周回って同じ構造に行き着きました。
そういえば、私が本アクリルケースを設計して発注をかけた後すぐくらいに、”キムラシンショクバさん”が"Tenalice-ambidextrous"のアクリル積層ケースを考案されているのを目撃し、最終的に私の大好きなメタモンケースになったのでもう少し待てばよかったとちょっと後悔しました。
待ちきれなくてそれっぽく作ってみました(寸法は超適当)。
— キムラシンショクバ (@zettai3_reido) 2021年11月3日
テンキー部分には、あえてスイッチやキーキャップをつけずに積層を愛でるスペースにしてもよいかも pic.twitter.com/mWE7u8XpEZ
Design03っぽい積層うにょん pic.twitter.com/SSlTjHSlp3
— キムラシンショクバ (@zettai3_reido) 2021年11月10日
プレート材質を真鍮にするかアルミするか迷っている。
— キムラシンショクバ (@zettai3_reido) 2021年11月14日
ひとまず両方見積とって決断しよう・・・ pic.twitter.com/Er0VShwr2V
なお、ちょっとした事件が起きた様子でまだキーボードに装着できていないみたいですが完成がとても楽しみです。
そしてこの件がきっかけで、今までLEDにはあまり興味ない人間(LEDをはんだづけしたことすらない…)だったのですが、アクリル積層と相性がとても良いので"Tenalice-ambidextrous"に取り入れようと思い立ちました。が、ambiさんはサイズが大きいこともあり、LEDの実装に失敗するリスクに鑑みると、もう少し小さいサイズのキーボードで検証することにしました。
"Tenalice-ambidextrous"の入荷お知らせにご登録いただいている方向けにご連絡です・・・
— Cerbekos↲ケルベコス (@Cerbekos00) 2021年11月14日
軽微な修正のVer1.1について基盤を発注しようと思いましたが、LED搭載してみようかなという気持ちになってしまいました。ということで、まずは小型のキーボードでLEDについて検証しようかと考えています。 pic.twitter.com/xTv1ZqMKWW
もし"Tenalice-ambidextrous"に興味があり、販売をお待ちの方には申し訳ございませんが、LEDを搭載したambiさんが帰ってくることを信じてお待ちくださいませ。
それでは、良いキーボードライフを。